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「複数物質味」の分類


 大カテゴリー「複数物質味」は、2つまたは少数の物質が呈する味である。次に説明する「食品一括味」とは、関与する物質が特定できる(はず)という点で異なる。なお、ここでは他の二つの大カテゴリーとの整合性から「複合物質味」を採用しているが、中カテゴリー以下を総称する意味では「複合味」の方が相応しい。

 「複数物質味」は、「混合味」、「融合味」および「統合味」の3つの中カテゴリーに分類している。この分類は、多感覚間相互作用がないか小さくて元の感覚の内容を維持しているか(「混合味」)、統合されて新しい味として認識されているか(「統合味」)、その中間か(「融合味」)で区別している。「混合味」と「統合味」は、その概念も区別も明確であるが、「融合味」はどちらにも分類し難い味の受け皿でもある。

 「混合味」の小カテゴリーは「味覚型」だけである。甘辛味は辛味が関与しているような名称であるが、実際には塩味が関与している。

 「融合味」は「味覚嗅覚型」と「味覚触覚型」に区分している。この名称は、関与する感覚種である。なお、「味覚触覚型」の触覚は圧触覚とされることが多い。ところが、多感覚間相互作用の分野では圧触覚は使用しないので、ここでも触覚とした。

 「統合味」は、「味覚嗅覚型」と「三感覚種型」に区分している。感覚統合では味覚嗅覚触覚の三感覚種が関与するとみなすのが一般的である。しかし、旨味には触覚は関与しないと判断し、敢えて独立させた。

(2019年11月作成)(2025年8月改稿)