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色の一覧表


 官能特性の中で、一覧表の作成が最も進んでいるのは色である。なお、標題では色の一覧表となっているが、この分野では色名の一覧表と呼ばれている。

 色にはJIS Z8102:2001「物体の色名」があり、国家規格で色が体系的に整理されている。ここでは、色名を系統色名と慣用色名に大別している。ただし、慣用名は系統色名によることが難しい場合に用いることができるとしているので、慣用色名は従属的な位置付けにみえる。慣用色名としては、269種を一覧表にしている。この色名は単語だけの例も少なくないが、色や赤などの語が下に付く用語も多い。

 参考に説明しておくと、色には赤・緑・青の3原色がある。受容体(オプシン)も3種類しかない。基本色でなく原色と呼んでいることに注目したい。他の色はこの3原色で表現できるという見解が背景にある。色は有彩色と無彩色に大別される。有彩色では、3原色の次に10基本色名がある。基本色名は、赤・黄・緑・青・紫とその中間色で構成される。これらに明るい・やわらかい・強いなどの修飾語を付けた多様な表現があり、これらは系統色名と呼ばれる。

 色名を理解するのに便利なのは、日本語大辞典(講談社)である。この辞書の巻末には色名辞典と色名解説があり。色名解説には印刷された実物の色が添付されているので、目で確認できる。ここには350種の色がピンク系から黒系までの11種の系統に分類されている。一方、色名辞典は609種の色名の一覧表になっている。数字が合わないのは、一つの色に複数の色名が割り当てられている例が多いためである。この色名も色や赤などが下に付く用語が多いが、外来語を中心に単語だけの例も少なくない。

 より専門的な資料にあたれば、色名の数は急増する。たとえば、日本色彩学会が編集したハンドブックによれば1)、日本で作成された「色名大辞典」には2,131種の色名の解説があり、Maerzらは7,056種類の色票を作成している。また、アメリカのISCC-NBSの色名辞典の解説には、慣用色名7,500について意味づけしたという。

参考資料
1) 日本色彩学会(編):新編色彩科学ハンドブック, 東京大学出版会, pp.262-265, 2011.

(2019年11月作成)