1.作成の趣旨
味の世界へようこそ。味には甘味・塩味・酸味・苦味・うま味しかないと思っていませんか。そろそろ、五基本味の呪縛から脱却する時代になっています。
従来からの誤解は、味覚性受容体との関係が確認された認識(感覚)だけを味とみなすことにあります。そうすると、五基本味だけということになります。しかし、この考えですと、色は赤・青・緑の三色だけになります。色が三色だけと思っている人はいないでしょう。味についても同じです。我々は、体性感覚の一部を味と認識しています。その例が、辛味や渋味です。そして、食品からの刺激を一括評価して、味名で表現しています。イチゴ味やおふくろの味あるいは優しい味などがその例です。このような事実は、近代科学の要素還元主義と相容れないようにみえますが、味は自然現象ではなく人間による認識です。甘味が近代科学の得意が分野であるのに対し、イチゴ味などは不得意な部分であるにすぎません。
個別に指摘しても切りがありません。そこで、味を一覧表にしてお示しすることにしました。
2.作成の意義
1)味についての正しい理解
味の全体像が把握できる。
味を体系的に理解できる。
2)味に関するコミュニケーションのツールとして
味は言葉にしないと共有するのが難しい。
言葉にすれば、コミュニケーションが容易になる。
言葉にすれば記憶が容易になる。また、記録が可能になる。
3)おいしさと味の関係が明確に
食品のおいしさにおいて、味は必須で中核的役割を担っている。
4)商品の企画開発におけるコンセプトとして
食品のおいしさに係わる中間指標にできる味がある。
官能評価における確かな評価用語になる。
5)食事指導における味言葉として
食品のおいしさを味で説明できる。