大カテゴリー「食品一括味」は、単独の物質とか特定できる複数の物質ではなく、食品を構成する物質全体からの感覚刺激が脳内で統合された結果、認識される味である。
「食品一括味」には圧倒的に多くの味が属しており「味の一覧表(本表)」に掲載した177味のうち154味がここに含まれる。「食品一括味」は、「個別食品味」と「熟語表現味」および「形容表現味」の3つの中カテゴリーから構成されている。
13ある小カテゴリーの名称が味ではなく、型となっていることに注目して欲しい。これは「食品一括味」では、多くの味が言語的根拠によっているので、小カテゴリーの分類が文法によっているためである。「食品一括味」には、中カテゴリーがなく小カテゴリーと細部カテゴリーがある理解すると、他の大カテゴリーの分類とのバランスがいい。
「個別食品味」は、2つの小カテゴリー「食品名連結型」と「食品名+の型」に分類している。それぞれに多数の味が含まれる。この分類は食品名と味の間に「の」が介在するか否かの違いである。たとえばカレー味は「食品名連結型」で、カレーの味は「食品名+の型」である。そして、カレー自体の味はカレーの味で、カレー味はカレーで味付けされた別の食品(たとえばクッキー)の味である。なお、「食品名+の型」のうち24味だけが物体的根拠のある味である。
「熟語表現味」は2つの小カテゴリー「伝来熟語型」と「和製熟語型」に分類している。名称の通り、中国から伝来したか日本で造語されたかの違いである。なお、「伝来熟語型」の全てと「和製熟語型」の一部の味名では、味を「み」と読むことを指摘しておく。「食品一括味」の他の味は「あじ」と読む。
「形容表現味」は、8つの小カテゴリー「名詞連結型」「名詞+の型」「動詞連用型」「形容詞型」「形容動詞型」「オノマトペ型」「接頭辞型」「その他の形用語型」で構成されている。この分類は、日本語の文法に依拠している。味の特徴で分類するのが望ましいけれども、当分は無理と判断した。この分類にも、平明でわかり易いという長所がある。
補足しておくと、「単独物質味」に含まれる味の名称は国際的に概ね共通で、英訳も可能である。一方、「食品一括味」の多くは日本語特有の名称で、敢えて英訳しても正確に伝わるかは疑わしい。「食品一括味」に含まれる味名の多くは、日本国内で自然発生的に登場した言葉であり、言語構造や食習慣・食文化に強く影響されているためである。