味の一覧表を作成するためには、味(味名)として採用する基準が必要である。そうしないと、掲載した味の妥当性を検証できないからである。しかしながら、現在はまだ、味といえる一つの基準を設定することができない。そもそも、本格的に提案された味の定義を見つけることすらできない。そこで次善の策として、@生理学的根拠のある味、A物質的根拠のある味、B物体的根拠のある味、C言語的根拠のある味の4種の根拠を設定している。これらの根拠のどれか一つに該当すれば、味とみなすこととしている。後述のように、これによらないで採用した味もあるが、これは暫定的措置である。
それぞれの根拠の詳細については、リンクした別サイトで確認しただく。ここでは、味の一覧表に含まれる味がどの根拠によるものかが確認し易いように、各根拠のある味の表にリンクしておく。
@生理学的根拠のある味
A物質的根拠のある味(本表と別表)
B物体的根拠のある味
C言語的根拠のある味(本表と別表)
また、大カテゴリー毎に適用される根拠に特徴がある。そこで、「単独物質味」「複数物質味」「食品一括味」に分けて、適用された根拠との関係を整理しておく。ただし、この説明は本表に掲載した味だけを対象にする。
1.単独物質味
適用されるのは、生理学的根拠あるいは物質的根拠のどちらかである。14味のうち、生理学的根拠のある味は10味、物質的根拠のある味は12味である。両方の根拠のあるのが8味ある。五基本味と辛味など「表在感覚性味」の3味である。一方、生物学的根拠はあるが生理学的根拠は認められないのは、渋味やアルカリ味など「多感覚種性味」の4味であった。逆に生理学的根拠はあるが物質的根拠は認められないのは、脂肪味とカルシウム味であった。なお、言語的根拠はどの大カテゴリーにも該当する味があり、ここにも8味ある。
2.複数物質味
「複数物質味」は、「単独物質味」と「食品一括味」の中間に位置し、味といえる根拠が設定できない。しかし、このカテゴリーに該当する味も存在することから、研究論文や専門雑誌などの解説記事による知識から、常識で判断した。なお、甘酸っぱい味、甘辛味、旨味、コク味の4味には、言語的根拠がある。これ以外の5味は、どの根拠にある味にも該当しない。
3.食品一括味
適用されるのは、物体的根拠あるいは言語的根拠のどちらかである。ただし、物体的根拠のある味は、中カテゴリー「食品名+の型」に含まれる、24味にすぎない。全体で154ある味のうち130味は、言語的根拠だけがある。「食品一括味」は、味の一覧表においていちばん大きな大カテゴリーで、3つの中カテゴリーと12の小カテゴリーで構成されているが、「食品名+の型」以外の11の小カテゴリーに含まれる味は、全て言語的根拠だけがある。